2023.3.31

活動事例

海洋AI学生勉強会Plus

東京海洋大学と連携し、船舶業界で活躍する海洋AI人材を育成

 

はじめに

BEMAC東京データラボ(以下、「データラボ」)では東京海洋大学と連携し、海洋科学技術において人工知能の開発と評価を行い、その社会実装に主導的役割を果たす人材である「海洋AI人材」の育成に取組んでいます。その中でも、今回は、同大学の海洋AIコンソーシアムにおける「海洋AI学生勉強会Plus」についてご紹介します。

海洋AI学生勉強会Plusとは

「海洋AI学生勉強会Plus」は、東京海洋大学が主催、当社が共催するかたちで2022年4月にスタートしました。元々、東京海洋大学では、同大の海洋産業AIプロフェッショナル育成卓越大学院プログラムにおいて、学生の勉強会の場である「海洋AI学生勉強会」を開催していました。同勉強会の気軽に発表や意見交換が行える特徴を維持しながら、産業界や研究機関の方々の参加を促すことで、交流をより活発化することを目的に「海洋AI学生勉強会Plus」が設置されました。

データラボの役割

データラボでは、産業界の発表者をアレンジするとともに、当社の研究成果も勉強会を通じて積極的に発信しています。これまでの6回分の発表内容をご紹介します。

AWS入門(初心者向け)

講演日:第一回 2022年4月13日(水)
講演者:本田 智也
概要:クラウドを使うメリットと、当社が主に使用しているAWSの主要サービスである、S3(Simple Storage System)、Lambda、CloudFormationそれぞれの特徴や向いている使用方法、使用時の注意点をまとめてご紹介しました。

船舶の異常検知システム構築

講演日:第一回 2022年4月13日(水)
講演者:本田 智也
概要:異常検知モデルを活用するために、AWSで構築した異常検知システムの概要を説明しました。機械学習やAIというと、モデルを開発した経験がある人が多い一方で、システム開発や運用という観点では語られることが少ないことから、当社が昨年度までに取組んだ例を元に、機械学習システムの概要や使用した技術スタックと具体的なシステム構成、システム化において見えてきた課題と、課題にどのようにして取組んだかなどをご紹介しました。

MLOpsを導入した機械学習システムの開発

講演日:第二回 2022年5月18日(水)
講演者:別所 祐治
概要:MLOps(Machine Learning Operations、機械学習基盤)を用いた機械学習システム開発を目指すうえで実施したプロセスをご紹介しました。当社が機械学習システムの開発を行った際に取り入れた概念である、MLOpsの概要と、システム化の際に起こった課題と、起こった課題にどのようにして取組んだか、MLOpsの概念を取り入れるうえで必要になってくる、アジャイル開発の手法やAirFlowを使ったMLパイプラインの自動化などの照会を行いました。

Python で GIS データを可視化してみよう!

講演日:第三回 2022年6月15日(水)
講演者:山本 亮
概要:データ活用の観点からAI・機械学習を用いる前の基礎分析はとても重要で、その中でも、データの可視化は大きなファクターを占めます。通常のグラフ等の書き方の資料はたくさんありますが、位置情報を含むGIS(Geographic Information System)データの可視化方法はあまり情報がありません。そこで、データ活用の観点から、これまでの分析で培った地図を含んだ可視化手法を共有しました。

船舶IoTのことはじめ

講演日:第五回 2022年9月21日(水)
講演者:山田 隆志
概要: AIを活用したシステムを開発するには、船内データを収集する仕組みが必要になります。従来の船内のデータを収集する際の課題と、課題を解決するために開発された、通信データフォーマットとデータ通信を行う仕組みと、その仕組みがどのようにしてISOになっていったかについて講演を行いました。

実務で機械学習モデルをシステム化するためのポイント

講演日:第九回 2023年2月22日(水)
講演者:秋山 和輝
概要:弊社では、Pythonで機械学習モデルを作成し、モデルの運用のためにAWSを用いたシステム化を行っています。今回は、私が学生時代に研究として機械学習モデルを作成していた時と、実務において機械学習モデルをシステム化する時の、Pythonコードの書き方の違い、気を付けるべきポイント、個人的に躓いたところなどについてご紹介しました。

海洋AI学生勉強会Plusを通じた気づき

海洋AI学生勉強会Plusの目的である「海洋AI人材の育成」ですが、学生や業界の方々の育成に貢献していく狙いもありましたが、一番の恩恵を受けたのはデータラボのメンバーでした。データサイエンティストは、ともすれば、内向きに仕事をしがちなところがあり、持続的な成長を続けるためには、意識的にインプットとアウトプットの機会を得ることが欠かせません。この勉強会Plusでは、メンバーは毎回、学生・産業界の方々から新たなインプットが得られるだけでなく、自分の日頃の研究開発について、アウトプットをする機会も得られます。実施にこの勉強会Plusを通じて、開発のボトルネックを解消するアイデアのきっかけが得られたこともありました。産学をつなぐ交流の場として、インプット・アウトプットを得る学びの場として、これからも海洋AI学生勉強会Plus に取組んでいきたいです。


参考情報:

海洋AI学生勉強会Plus 
https://sites.google.com/view/marine-ai-plus/

東京データラボ技術ブログ 
https://qiita.com/organizations/bemac-tdl