
大学では情報工学を専攻し、AIによる自動要約文の生成技術を研究していた秋山。Chat GPTの誕生で話題を集める分野にいた彼が、どのように東京データラボと出会い、海事産業に関わることになったのか、またこの業界で得た新たな道について聞いた。
AIの研究と活用。その両方ができる仕事を求めて
自分の好きなことを活かして働きたい
大学では情報工学を専攻していました。研究分野は、自然言語処理。日本語や英語など、人が話す言語についてAIを使って、自動で要約文を生成する技術の研究開発をしていました。AIの分野は、みなさんも知ってのとおり最新の技術が次々と生まれています。私はこの分野が本当に好きで、ずっと学び続けたい、できるなら研究だけではなく、知識や技術の活用もしたいと考えていました。それが仕事を選ぶ軸になっていたと思います。
地元・今治での思わぬ発見
なので就活は、AI技術が活用できる企業を探して選考を受けていました。その一つがBEMACです。私は今治で生まれ育ったので、BEMACの名前は知っていました。でも、地元にある大きな企業というくらいの認識しかなく、「MaSSA」のようにAIを活用した船舶システムを積極的に開発していることは初耳でした。しかも「東京データラボ」という、AI技術の活用やデータ分析に特化した場所もある。地元にこんな企業があったのか!と驚きました。「ここでなら自分のやりたいことができる。しかも海事産業という大きな業界で役に立つことができるかもしれない」と思えたことが入社の決め手になりました。

海事産業を救うシステムを開発中
ブレイクスルーの可能性を秘めた「無人運行船」プロジェクト
東京データラボのミッションは、最新のAI技術やデータ分析を駆使して海事業界の課題を解決すること。そのミッションのもと、入社してから、システムの開発を通じた解決策の提案に関わっています。いま特に注力しているのは「無人運行船」のためのシステム開発。「無人運行船」は、機械化の推進と船員不足問題の解消、その両方に大きなブレイクスルーを起こせる、夢が詰まったプロジェクトです。ここでエンジンなどの機関系の異常を検知するAIシステムを開発しています。
ブレイクスルーのカギは、異常の可能性を検知すること
そもそも船というのは異常が起きると、船や船員さんだけでなく、乗せている荷物や、その荷物が届く先の地域や企業・人、果ては世界経済まで、本当に広範囲に影響が発生します。少ない船員でも安心して運航できる仕組み開発は急務で、特にエンジン部分などは、今もベテランの機関士さんの感覚に頼るところが多いです。
故障が発生する前には、異常があります。今あるサービスや製品の多くは、故障を知らせることが中心です。私たちとしては、その先を行くために、故障を知らせるのではなく、故障につながる可能性がある異常を早期に発見し、知らせることで、船の運行をより安全なものにしたい。そのため、AIに船舶のあらゆる機器のデータを学習させて、早期検知を実現するのが私たちのサービスの特徴であり強みです。
ゴールは無人運行船を当たり前のものにすること
船舶データの分析を通じて、業界をリードする存在へ
海事業界は新しい技術の採用にかなり慎重なところがありましたが、一刻も早く解決しなくてはいけない課題が多く発生したことで、解決策の提案が求められる状況になっています。BEMACは、いち早くAIの活用を実践するために船舶のデータを収集してきました。まだ他社はこれからという状況で、一歩進んで、どんどん分析ができる。これは一大チャンスです。ここで一気に技術を進化させて「無人運行船のシステムといえばBEMAC」というポジションに辿り着きたいですね。

船舶業界におけるAI活用の可能性と挑戦
この業界はAIに親しんできた人にとって、これまでの知見を活かして提案できるところがかなり多いと思います。私も仕事をしていて「ここもアナログだったのか!」と驚くことが結構ありました。逆に、この業界に長くいた人からすると「え、ここも変えられるの?」と目から鱗になるようで、そうしたギャップもこの仕事の面白さだと思います。
東京データラボには、エンジニアとしての知識をベースに船舶の知識を掛け合わせた人たちが集まっています。こうした環境で、業界をリードする解決策を提案するのは、自分の専門性を高めるうえでもプラスになるはずです。