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重大機関事故の未然防止で共同研究開始
海洋プラント事業

 三井住友海上火災保険株式会社(以下、三井住友海上)とBEMACは、重大機関事故を未然に防止する仕組みについて共同研究を開始します。

 データや運航支援ソリューションを相互提供した上で、三井住友海上が異常を検知する仕組みを導入した船舶に対応した保険商品の開発を進めていきます。特に内航海運では、船員の高齢化などで、機関の適切かつ効率的なメンテナンスや予防措置が必要となっており、共同研究では内航船重大機関事故情報などを共有し、課題解決に役立てます。

 

 

 三井住友海上では、船舶保険の機関事故に関して、事故発生時の機関データの取得が困難であるため、事故の真因把握が難しく再発防止策の提案が限定的となっていました。特に内航海運は、機関士の人員不足や機関のメンテナンスが機関士個人の経験や勘によるところが大きく、課題が大きかったのです。そこで、「事故原因について、定性的なデータでしか把握できなかったが、BEMAC が有するデータプラットフォームや機器メンテナンス、解析技術を活用することで、定量的なデータも把握し、事故の真因調査や事故防止に役立てる。また、将来的には保険商品開発に活かしたい」(三井住友海上)としています。

 共同研究では、BEMAC の技術や三井住友海上およびエンジニアの知見を活用し、重大機関事故につながりかねない異常を軽度な時点で検知し、適時適切なCBM( 状態基準保全:Condition-Based Maintenance)を促すサービスの開発を目指します。三井住友海上が保有する重大機関事故に関する匿名加工されたデータをBEMAC に提供。BEMAC は、船舶の機関や周辺機器の異常を検知するために、同データを活用した船舶支援ソリューション「MaSSA-One(マーサワン)」を船舶運航者に提供。機関データを海陸で共有し、機関状態のリアルタイムでの遠隔監視や機関異常を検知し、アラート発信、さらに機関異常の真因・対処方法・再発防止策の船主・船舶管理者への助言などを行う内容となります。

 システム開発を担う当社は、「故障につながる異常を高い精度で検知するシステムを開発し、サービス提供できるところまで持っていくことが我々の使命」としています。

 

 

 現在、既存センサーを用いた重大機関事故の異常検知アラーム条件の検討と内航船への試験的な実装を進めており、来年度は新規センサー研究や異常検知対象の拡大、さらに2024年度はA I 異常検知・トラブルシューティング機能の開発、将来的には重大機関事故異常検知モデルの有償配布を目指します。並行して機関事故データの分析を活用した保険の引き受けや同サービスを導入した船主に対する保険商品の開発も検討していきます。

 三井住友海上と当社は今回の件について、「海難事故を未然に防止する仕組みにより、乗客・乗員の安全確保に貢献するとともに、高額で大規模、長期間の停泊を余儀なくされることもある海難事故を削減させ、海上物流の安定化に寄与する」などとしています。

 

共同研究に関する打ち合わせの様子